社会人としての考えを創る就職活動

就職活動は人間性教育と考える就職担当の話

自己PRなんて私にはない...どうしよう...

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❖自己PRって言われても困る...こんな声が聞こえてきます

「今まで頑張ってきたものなんかない」「自己PRって言われても…」学生がよく口にする言葉です。それって本当によくわかります。私だって同じですから…私も「今まで頑張ってきたものなんかない」「自己PRって言われても…」です。

当たり前のことを当たり前にやってきた。世の中に暮らす人の8割くらいはこの感覚なのではないでしょうか。「だから何も言うことない…」と言ってしまえば、その通りなのですが、ここでは人事の意図からもう少し考えてみましょう。

❖人事が面接で「知りたい」「探りたい」内容

人事が探りたいのは、この学生が組織の中でどのような役割を担い、どのように行動するか。さらには、その行動はどのような考え方にもとづいて行うかです。特に、組織に課せられた課題(タスク)に対しての行動を、重視してみていきます。要するに自組織で発生する数々の課題に対し、どのように皆さんが解決してくれるか。また、その解決方法は自組織の風潮にあったやり方かを確認していくと考えてください。そのように考えると、何か凄いことをしていることが大切なのではありません。

例えば、バックパッカーとして南米や中東などの危険な地区を1年かけて回ってきた学生がいたのですが、彼の自己PRはそのことではありませんでした。なぜならば、組織でどのような役割を担えるか、どんなタスクを乗り越えたかというエピソードがバックパック旅行にはなかったからです。その学生はそのバックパック旅行の資金を貯めるためのアルバイトを題材にしていました。役割とタスクに対しての行動が重要だからの選択です。

❖タスクをクリアしながら生活している私達

ほとんどの皆さんが生活の中で数々の課題を課せられているはずです。朝起きるというタスク、歯を磨くというタスク、朝食をとるというタスク、通学するというタスク、授業を受けるというタスク…毎日このタスクをクリアしながら生活しているはずです。この当たり前のことをクリアしながら成長し、人間関係を円滑に保つというタスクや組織の中で役割を果たすというタスクも当たり前にこなしていませんか。小さなことで良いのです。バイト・サークル・ゼミなどなど、考えていくといくつか出てくるのではないでしょうか。もし、どうしてもそのような経験がない場合には今から作ってください。一か月あれば形になるはずです。

❖本当になければ今から作れば...

私が担当した学生でもそんな子たちもいました。コミュ障で引きこもりがちな学生が自分のゼミの担当教員にお願いして、雑用係を引き受けて「愚直といわれるほど真面目」という自己PRで公務員になりました。自ら写真係を申し出て「私の周りにある何気ない笑顔を記録に残す」と写真を撮り続けた学生は『卒業式にはパーソナルな写真集「〇〇ちゃんの笑顔の記録」をゼミ生全員に一人ひとり渡していこうかと密かに計画を立てており、その時の皆の表情が楽しみです』という自己PRで不動産業で地元最大手の企業に入っていきました。

組織で働くためには当たり前のことを当たり前にできることが一番大事です。小さなことでいいんです。何か組織のためにやってきたことを探してください。なければ今から、是非、探し出してさらには行動してください。

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ノルマを課すが本当に悪いシステムか?

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❖私の友人のThe営業の方の話

私の友人に少額の基本給+業績給という方がいます。The BtoCの営業という感じです。この方が先日憤慨していました。「〇〇さんの仕事のノルマが大変そう」このように言われたそうです。その方曰く「自分の仕事にはノルマは無い。やった分だけが給料になる仕事だ」とおっしゃっていました。確かに考えてみると業績給がやった分だけ入るわけですからノルマは無いですよね。

やらなければ給料にならない、やれば給料になる、このような仕組みで働いているわけでありそこにノルマは存在しない。この考え方になるほどと感じました。

❖ノルマって何??

何回かテーマとしてこのブログで出しましたが、今日はノルマについてもう少し深く考えてみます。ノルマを辞書で引くと「基準」特に個人や工場に与えられた仕事の基準量とあります。ちなみにロシア語です。シベリアに抑留されていた日本人が復員後に伝えた言葉だと言われており、強制労働的な暗いイメージのある言葉です。

さて、ノルマは嫌だと言う学生によく話すことがあります。こういう学生に「ノルマって何?」って訊いてみます。そうすると「会社から押し付けられる目標」「上司から強要される売上」などと答えてくれます。「押し付け」「強要」など、やはり強制的なイメージがあるようです。

❖私のレポート課題の出し方

少し自分ごととして考えてみると、教員になった当初、学生にノルマを課すことで学生の成長を創ろうと考えていた気がします。別に意識していた訳ではないのですが、結果そうなっていました。例えば、レポート課題で「Word・10.5ポイント・MSPゴシック・A4サイズ3枚以上・図表は別添」などの指定をつけ学生に強要するなどです。この課題提示の場合、真面目な学生は条件にはめようと一生懸命文章をだらだら書いてくれました。その、だらだらした文章をイライラしながら読み評価をつけていました。さてこのレポート課題の出し方をすると学生たちは量をこなすことに注力し、そこが目的となります。しかし、私が望んでいるのは質であり量ではありません。そのため、私はイライラするのです。

そのうち、学生というものを理解するようになり、指定をなくしていきます。現在のレポート課題の出し方は「良いレポートを書いてください」以上です。私の課題の出し方に慣れていない学生は「先生、最低何枚ですか?」と聞いて来ますが「できるだけ短く簡潔に」と言うようにしています。(そのうち漢字1文字で提出してくる猛者が出ないかワクワクしているのですが、まだいません…)また、提出されたレポートはよく読んで、理解していない部分や足りない部分があれば資料をつけるか全体に講義してから返却するようにしています。また、強制ではなく再提出を促すこともありますが、その場合は学生と相談し、方向性を決めたところでお願いするようにしています。この場合、手を抜こうとする学生が出て来ます。しかし、そのような学生はほとんど再提出には応じませんので、真剣に行おうとしている学生との有意義な時間を過ごすことができます。また、真剣に行おうとしている学生は、相談をした上で良いレポートを仕上げる事を繰り返すうちに、成長し私の指導などなしで良いレポートを作るようになります。また、それを繰り返し目に見えて良いレポートを作る学生が増えると、今まで手抜きをしていた学生も少しずつ前向きに課題に取り組んでくれるようになりました。

前者と後者の課題、私は目的を変えました。前者は私のノルマとして学生の学力向上を図るために、学生全員のノルマとして良いレポートを書かせようとしました。それに対し、後者のレポート課題は私の目標として良いレポートを学生に作ってもらうことにした訳です。

❖「ノルマがある」「目標がある」どっちが良い?

最初にお話ししたBtoCの営業を行っている友人の話で考えてみると、自分の仕事には誰かから強要されるノルマはなく、自身の目標があるだけと言いたいのだと思います。さらには、その目標を達成し続けることに誇りをもち日々努力しているのではないでしょうか。

皆さんにとってどちらが良いでしょうか?多数の人は後者の課題提示方法が良いと言うのではと考えますが、どうでしょう。私が担当する学生達も後者が良いと言います。でも、私の感覚では後者は手を抜く学生を見捨てて、評価できる学生を伸ばしただけなのですが...

そうなのです。私はノルマや目標の先にある評価は一切変えてないのです。また、学校から私に対しての評価方法も基準も全く変わっていません。私は私の評価を上げるために与えられたミッションをノルマと考えずに目標と考えるように変化させました。そのため、学生にノルマを課すことをやめ、自分の目標として考えるようになった訳です。

結果、見捨てなければいけない学生が出て来ました。また、学生にとっては課題を自分ごととして能動的に行った学生は評価され、受動的に行った学生は評価されなかった。このようなことになります。つまり、私は昔に比べ、学生に対しドラスティックになったのです。

❖本当にノルマがなくって大丈夫??

全体を底上げするためのノルマはある意味、誰も見捨てることなく過保護に業務を行う方法。そのために、与えられた側は受動的になり自分事と考えられなくなり、組織の上にも下にも不満がたまる。また、目的を見失うことが多くなる。それに対し、目標というシステムはそれを持てないものに対しては、厳しくドラスティックなシステムとなり見捨てられる。しかし、目標をもち覚悟をもって取り組むものに対しては、手厚く、上長や同僚とチームとして一緒に業務に取り組むことが出来る。このような感じではないかと考えます。

ノルマが嫌だという学生は多いです。私もノルマは嫌です。しかし、ノルマは社会主義のシステムらしく落伍者を作らないシステムです。怠けたい、さぼりたいという方にとっては、いやでも責務を果たさなければなりませんから、良いシステムなのではと考えてしまいます。

目標で考える組織が良い組織だと私も思います。でも、目標をもって達成するための努力を出来ない人は落伍者となり、去らざる負えなくなるのがこのような組織の特徴です。また、ノルマを強要する組織にいたとしても、それを自分事の目標に変換できる人は、たいていの場合、頑張って良い成績を出します。

結局は目の前の責務を自分事と考えるか、他人事と考えるか、だけの話だと思います。是非、責務は果たす人間になってください。どんな組織にいても、評価基準はそれを果たすか果たさないかのみです。そう考えてノルマなど気にしない人間になって欲しいと思います。

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テクニックやノウハウだけでは成長しない

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❖「やりもせんに」という気持ちが成長を創る

「やりもせんに」本田技研の創始者本田宗一郎の口癖だったそうです。昭和の時代の言葉ですが、正解のある仕事がコンピュータに取って代わり、社内に残った単純作業はアウトソーシングされ、正社員が取り組む仕事は正解のないチャレンジングな精神が必要なものが中心になっている今の時代のためにある言葉だと思います。

私もこの言葉を心に刻みながら、いつも仕事に取り組んでいます。どうすれば、企業が欲しがる人財を輩出できるのだろう。あの手この手で学生にアプローチしているわけです。これは、私の職業が特殊なわけではありません。営業しかり、販売しかり、広報しかり、技術しかり、企画しかり...頭脳労働で給料をもらうためには挑戦し続けるしかないのです。

❖テクニックやノウハウに走る学生の不幸

でも、「そんな役に立つかどうかわからないことやっても無駄だ」「どうすれば上手くいくかノウハウを教えて」と言ってくる学生がいます。テクニックやノウハウでその場を乗り切ることが労力が少なく成功に近づく方法と考えている学生です。たまに上手くいくと、そのノウハウが武器になると考えて満足します。同じシチュエーションなんてほとんどないのに…大事なのはノウハウではなく「なぜ成功(失敗)したか」なのに…世の中、まるで数式のような公式だけで渡れるほど甘くはありません。

❖競争に勝つために必要なチャレンジングな精神

例えば、教員という仕事、当然ですが毎年担当学生は違います。去年成功した授業を行えば必ず今年成功するわけではありません。学生が違いますから、理解を促すためには今年の学生に合った手法が必要です。でも、学生に合った授業を行うノウハウはこの世に存在しません。そのため今までの経験から仮説を立てて新たなことを考えるわけです。また、学生に選ばれる学校でなければ存続は難しいです。学校と言えども競争です。その競争に打ち勝つためには他校と差別化しなければなりません。今まであるノウハウを使って同じことを繰り返しても他校がそれを見て真似してきます。また、他校が開発した手法を取り入れただけでは差がつきません。つまり、新たなことにチャレンジするしかないのです。

皆さんは学生としてどのような学校へ行きたいと考えますか。毎年同じことを繰り返すだけのノウハウのみで運営されている学校。学生と共にチャレンジして高みを目指している学校。お客様の気持ちになれば、企業として「チャレンジングな精神」を持っているところの方が伸びる企業であることは自明の理です。

❖就職活動で見られるチャレンジ精神

就職試験ではその人の行動の傾向を見ます。上のようにムダと考える傾向がある人はまず合格しません。組織は何事もムダと考えずチャレンジする人しかいらないのです。正解のない仕事をするわけですから、何でもやってみないと分からないのです。ムダと考えてしまうと成功にたどり着けません。さらに、ムダと考える人は仕事ができないだけではなく、上司の指示に対してもムダとか思うことがあると判断されます。もし、皆さんに部下がいたとして、自分が考える仮説をもとに仕事を指示したとき、部下がムダと考えていたとしたら、その仕事成功すると思えますか。ムダと考える部下と一緒に仕事がしたいですか。

もし、ムダという気持ちがあるのであれば、社会人になる前に考えを変えてください。また、隠すのだけは絶対やめて下さい。そうしないと自分をふくめ組織全体が不幸になります。

チャレンジしてチャレンジしてチャレンジしてください。やってみると結構楽しいものですよ。

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コミュニケーションに口はいらない!!

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❖利他の気持ちがオープンマインドを創る

コミュニケーション能力の根幹にある素直さについては先日お話ししましたが、「受け入れる力=素直さ」だけではコミュニケーション能力があるとは言えません。自分から発信する「伝える力」も重要になります。受け入れる力を駆使することで相手のオープンマインドを引き出すことが伝える第一歩です。その上で伝えるために必要なことは「利他」(自分の利益ではなく他の利益、もしくは全体の利益)の精神です。

特に仕事をするうえではこの精神が必要です。仕事はチームで一つの目標に向かっていくことです。「チームを目標に向かわせたい」「チームの力を向上させたい」という気持ちで伝えていかないと誰の心にも響きません。伝える目的は他の人達を動かすことですから、目的を達成するためには他人の為を考え動くこと(利他)が重要になります。さらには、お客様など仕事で関わる全ての人や団体(ステークホルダー)に対しても同じです。自分の利益(利己)で伝えても、誰も相手にしてくれないのは自明の理(あれこれ説明する必要のない明白な道理)です。

❖利他の心を使ったコミュニケーション

学生にコミュニケーションの話をするときに、今まで私が働いてきた中で、この人についていきたいと心から思ったある校長先生のことを例に出すことが良くあります。この校長先生はいつも学校に一番最初に登校し、すべての教室の鍵を開けていました。ある日、朝までにやらなければいけない仕事があったため、いつもより2時間程度早く行きました。私は学校の鍵を持っていなかったため、学校の前で校長先生が登校するのを待って、一緒に学校に入りました。いつも、校長先生がまるで用務員さんのように、すべての教室を開けていることを「申し訳ない」と思っていたこともあり、校長先生に「今日は私が鍵を開けます。」と鍵を校長から預かろうとしました。この時、校長先生はこのようにおっしゃいました。

「〇〇先生は仕事があるから早く来たのですよね。私は学生のために何かできることがないか考えて、朝勉強をしたいと思っている学生のために、早く来て教室を開けています。そして、それは私の仕事と考えています。〇〇先生は〇〇先生の仕事を行ってください。私は私の仕事をしますから。」

と言い、にこやかに笑顔を見せた後、教務室を出て鍵開けに行ってしまいました。「本気で学生のこと、我々教員のことを思っているから出てくる発言だ」と感じ、私は感動し、この先生についていきたいと心から思いました。今までも感じてはいたのですが、校長先生の考え方がわかった瞬間であり、絶対にこの人と分かり合いたいと思った瞬間でもありました。心から「利他」で話している人には、このような感情が湧くものです。伝えるためにはこの「利他」の精神が絶大な威力を発揮します。

校長先生の例でも分かるように、コミュニケーションは言葉だけでするものではありません。校長先生は鍵を開けるという行動を通して、私とコミュニケーションを図りました。皆さんも部活などで「率先して動くこと」「真剣に練習に臨むこと」などで後輩を教育して、部をまとめていったことはありませんか。それは行動でのコミュニケーションの一例です。

❖コミュニケーションは口だけでするものではない

​しゃべることが上手い人が、社会人として、コミュニケーション能力が高い人でないことを知ってください。しゃべることはコミュニケーションのごくごく一部であり、それよりも「聴くこと」(受け入れること)の方が大切です。さらには「行動を通して示すこと」もコミュニケーションでは重要なファクターであり、コミュニケーションの根底には「利他」の精神が必要になります。

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既得権益を批判したくなる私達だけど...

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既得権益って何?

この前ゼミで話をした既得権益について今日は語りたいと思います。既得権益とは過去の経緯において取得し、維持している、利益を伴う権利ことです。既得権益を守ろうとする団体を批判するニュースを見ると「その通り」と言いたくなります。既得権益って言葉に良い意味を感じる人は少ないと思いますが、皆さんはいかがでしょうか。なんか権力をふるって自分の利益のみ追求する人や、しがみついて自分の損を最小限に抑える人。既得権益のイメージってこのような感じかと思います。でも、ちょっと次の映像を見てください。
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映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』予告編

「でもこの服は私達の血でできています」「私達の血で作ったものを誰にも来てほしくありません」この言葉を聞くと心が痛くなります。私達が普通に着ている洋服、途上国の人達が汗水たらして作り上げてくれたものです。それも、とてつもない低賃金で劣悪な環境で...

❖我々日本人が持つ既得権益って何?

日本に住む我々の生活が既得権益の上に成り立っています。途上国の収入と我々の収入の差や、大卒と高卒の就職先の差、正社員と契約社員の待遇の差などはすべて既得権益です。既得権益を謳歌しているのは、ほかならぬ私たちなのです。さらには、今、皆さんが行っている就職活動も、より大きな既得権益を行使する集団へ入るための活動と言えます。

さて、このように考えるとなんだか就職活動があさましく感じてしまいますが、よく考えてみてください。「もっと皆が幸せな世の中を創っていきたい」「すべての人の生活が豊かになるためにはどうすれば良いだろう」こんな考えが湧いてくるのではないでしょうか。そしてすべての人にとってWinWinになるために、私としても「ものを無駄にしない」「感謝を忘れない」「より良い世の中になる努力を怠らない」「社会に貢献し幸せな世の中を創る」と考えます。

既得権益は「先人の努力の上に立つ幸せ」

そのことを前提にして、既得権益を違う言葉で表してみます。「先人の努力の上に立つ幸せ」「先人たちの努力が与えてくれたチャンス」これが既得権益です。また、そのチャンスを使いもっと良い世の中を創るためのステップが就職活動です。さらには既得権益を持つ者として「先人たちの努力を超える努力をして世の中すべてを良くする義務」を持っているのではないでしょうか。利己的にならず世の中を俯瞰して、少しでも良い製品やサービスを提供するために努力する。それを、必死で行うことで世の中の底上げを行っていく。先人たちが努力を怠らなかったように、我々も努力し続ける。その仕事が直接的に既得権益を持たない人達のためになっていなかったとしても、全体を底上げできれば、すべての人にとって幸せです。それが、既得権益を持つ我々の義務だと思います。

日本で学校に行き、就職活動をする。私達はたまたま、このチャンスを手に入れているだけです。そのチャンスに感謝すると共に、その感謝のかたちとして世の中に貢献する努力を怠らないことが大切です。どんな職業についてもそれは出来ます。そんな気持ちを忘れないでほしいと考え、ゼミ生たちに話をしてみました

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「ハイ!!」というのは素直じゃない

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❖元気な「ハイ」は気持ち良いけど...

講義をする中で学生に「わかった?」と聞くと、多数の学生は元気に「ハイ!」と答えてくれます。このときにいつも私が言うセリフがあります。「ハイというのは素直じゃない!素直になれ!」です。講義中に何回も言っているので、最近はそのセリフに対してハッとした顔をしてくれますが、最初は「このおっちゃん何言っているんだ?」という顔をしていました。

私は素直を「受け入れること」と定義しています。もう少し細かく言うと「自分を受け入れること」「相手を受け入れること」「環境を受け入れること」の3つになります。もし、学生が「相手を受け入れること」を徹底した素直な人間だったとしたら「わかった?」という問いかけに対してどのように答えるでしょうか。受け入れる前提として相手を心からわかりたいと思う気持ちがわくはずです。とすると返しは確認になると思いませんか。「おっしゃったことは〇〇ということですよね」「〇〇という風に理解したのですが、それでよろしいでしょうか」など自分がきちんと理解していることを確認して、考えが正しいということが分かった時点で「ハイわかりました」と返事をすることが「受け入れること」つまり「素直さ」になっていませんか。これであれば、学生にとってだけではなく、私にとっても理解が確認でき、気持ちよくかつ着実に講義の目的を果たすことができます。

❖面接でよく見る「ハイ」の使用法...

就職面接の時にも同じです。緊張のあまり質問に対して「ハイ」だけで返す学生がよくいるのですが、面接官にとっては心のシャッターを下ろして「聞かないでください」と強く言われている気分になります。

自己PRで努力を語った学生に対して次のように聞いてみたとします。
「努力したんだね~」
「ハイ」
「それを行っているときつらかったですか」
「ハイ」
「チーム全員がそのような努力をしていたのですか」
「ハイ」
「そうなんですか。良いチームですね」
「ハイ」
「・・・」
いかがでしょうか。ここまでハイだけで返す学生はまれですが、面接官として何を聞いてよいかわからなくなってしまいます。

❖面接官と分かり合いたいと思ってほしいな!!

面接官に対しても同じです。面接官の質問に対しきちんと意味を分りたいと考えて察することが出来れば、このような返し方にはならないと思います。何を意図しているかを察することが出来れば返し方にはバリエーションが出ます。例えば、自己PRを語った後に面接官が「努力したんだね~」と言ってくれたとしたら、面接官の心の中は「君の努力わかるよ」「素晴らしいね」あたりではないでしょうか。回答としてはその努力をもう少し掘り下げて「努力は欠かしませんでした」「毎日、続ければ必ず目標を達成できると考えて1日も休まず頑張っていきました」と自分の考えを話すことで、より分かり合えるというものです。

また、質問の意図が分らなかった場合でも「努力しとたんだね~」に対し「ありがとうございます」「毎日続けたことが、自分にとっては一番の努力だったのですが、そこを評価して頂けたのですか?」と返しても良いでしょう。

人間関係の中では「心から分かりたい・理解したい」と考えて行動するようにしてください。相手を心から理解したいという気持ちは相手のオープンハートを創り、良いコミュニケーションのきっかけとなります。それが、面接で効くだけではなく人生が豊かになります。そのような、コミュニケーションでわかり合う人間関係をたくさん創ってくれることを祈っています

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どんな組織で働くと希望が叶うんだろう??

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❖どんな組織で働きたい?

学生にどんな組織で働きたいかと聞くと、色々な答えが返ってきます。「給料の高い組織」「人間関係が良い組織」「楽しいことができる組織」…たしかにその通りです。でも、良い組織ってどんな組織なのでしょう。考える中で次の引用を学生に紹介しました。

「組織は、人間が、その強みよりずっと多く持っている弱みを消すことはできない。しかし組織は、人の弱みを意味のないものにすることができる。組織の動きは、個々の人の強みをレンガにして、協働の事業として組み上げることである」(経営者の条件 ピーター・ドラッカー)

このように、各人の強みを最大限に活かすことができる組織は強みを最大限にすることができるため、利益も最大限になり給料も最大限になる。各人の強みを活かすことができるため、認め合い良い人間関係をつくることができる。各人の強みを仕事にすることができるので、楽しいことができる企業である。

❖そんな組織で働くためにどうなれば良い?

つまり、各人の強みを最大限に活かす組織こそが良い組織と言えないだろうかと問いかけてみました。学生が納得してくれた様子だったので「強みをレンガにして、協働の事業を組み立てるため、組織人に必要な能力」を問いました。学生達は議論の中で「コミュニケーション力」が必要という結論に達したようです。

この場合のコミュニケーション能力を定義すると「自分を知る能力」「他人を知る能力」「受け入れる能力」の3つが共通事項として挙げられました。さらには、この能力を前提として「和を貴ぶ能力」と「徹底的に論議する能力」の2つの能力のどちらが必要かで意見が対立していました。ある学生は「仕事は、徹底的に議論しないと分かり合うことは難しいのではないか」という仮説。ある学生は「皆を受け入れて理解し合う努力を徹底すること、つまり和が必要」という仮説を立てていました。

アメリカを中心とするグローバル社会では分かり合うための「議論」が重要で、日本的な考え方をすると「和」が重要となるのではないかという結論に達しました。

❖コミュニケーション能力を創る3つの力

さて次に「自分を知る能力」「他人を知る能力」「受け入れる能力」の3つの能力を考えてみます。まず「自分を知る能力」ですが、先にあげたドラッカーが次のように語っています。

「誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし、何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」(プロフェッショナルの条件 ピーター・ドラッカー

この本の中でドラッカーは自分の強みや弱み知る方法を紹介しています。短期的(9か月・年単位)の自分の望む期待値を目標として掲げ、その目標に対して自分がどのくらい出来たかを検証・分析する方法です。もし、目標を充分に達成できたら強みであり、出来なかったら弱みとなる訳です。ドラッカー自信もこれを繰り返しているそうで、毎回その結果に自分自身驚いていると述べています。確かに自分で自分のことは中々わかりません。このような感じでの分析・検証が有効だと私も感じています。

自分を知ることが出来れば、自分を相手に的確に知らせることが出来ます。自分の強みや弱み、考え方や行動の特徴などを知り、オープンハートで他人と接することが、コミュニケーションの第一歩となるのではないでしょうか。

また「受け入れる能力」ですが、他人を知りたいと思う気持ちが最初だと考えます。他人が何を考えているのか。それを自分は理解しているのかを常に考えながら行動する。その気持ちが大切です。ちなみに、これを世間では「素直」と言います。この素直さについては、また後日ブログであげようと思っています。

最後に「他人を知る能力」を発揮するためには、他人から信頼を勝ち取ることが大前提となります。基本的に他人のことはわかりません。わかるために他人のオープンハートを創る必要があります。信頼を勝ち取り相手のオープンハートを創る。他人のオープンハートを創ることが出来たら、他人は語ってくれ、自分を見せてくれるのではないでしょうか。

企業がコミュニケーション能力を必要な能力と考える理由がわかりますよね。また、そんな組織で働きたいですよね。

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