社会人としての考えを創る就職活動

就職活動は人間性教育と考える就職担当の話

貧困に陥らないための就職活動

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❖地方出身者の悩ましい問題

地方創生などが叫ばれる中、地方都市の学校で就職指導を行っていると、ちょっと悩ましい問題にぶつかります。高校を卒業して、進学の際に地方住みを選択した学生には3種類います。

まずは、地元好きで地元から出たくないという学生。次に、家族がその地方から出ていくことを許さないために、地方住みを選択した学生。最後は、自分の学力レベルと勘案して丁度よい学校がたまたま地元にあったため、なんとなく地元の学校に進学した学生。

このような学生たちに用意された就職には幾つかの選択肢があります。まずは、地元の一流と言われる企業。一概には言えませんが上場企業で考えてみると、筆者の働いている県にはJASDAQまで含めても38社しかありません。東京の1827社に比べると1/50です。また、自治体職員などの公務員もありますが、採用人数は限られています。その他、オンリーワンの技術を持つ中小企業も多数存在しますが、選択肢は狭いです。その、狭い選択肢の中で地元就職を目指すか、視野を広げて首都圏、さらには全国まで考えるか。就職活動はその選択から始まります。地元好きな学生にとって見たら本当に悩ましい問題です。就職指導担当としても相談されることがあるのですが、できる限り客観的に事実を述べるにとどまり、選択は学生が行っていきます。

❖プライベートまで考えた人生のキャリア

このような時のアドバイスとしてよく「プライベートまで考えた自分のキャリアを考えること」と言います。プライベートでキャリアというのもおかしいですが、そのように話すことで、生活全般でどのように自分が成長したいかを考えさせます。

例えば、地元で仲間たちと共に助け合いながら暮らしていく人生も楽しいです。当然、仕事をしっかりとこなしながら、地元を良くするために考え、祭りや行事などを自らが創りだし、地元の為を思う人生は有意義で人生のキャリアとしてはありだと思います。例えば、仕事での成長を第一に考え、地元・首都圏など土地に縛られない就職活動を行い、自分の人生を創っていくのも良いキャリアだと思います。例えば、若いうちは仕事でキャリアを磨くことを最優先にして、将来的に、そのキャリアで地元に貢献するという考え方も良いと考えます。

❖都会へのあこがれで就職ってちょっと危険

しかし、学生の中には「ちょっと待った!!その考え危険!!」と思える志望先の決め方をしている方がいます。「なんとなく都会は楽しそうだから…」「都会に憧れるから…」「都会には刺激が沢山あるから…」などの理由で首都圏の就職を考える学生達です。

なぜ、その考えが危険かを知る分析を、昨年のゼミ生たちが行っていたので、少し紹介します。このゼミ生たちは女子の貧困についての研究をしていました。その中でコミュニティの大切さという視点から貧困の分析をしていました。女子の貧困についての研究の一部ですが、男性にも当てはまると私は考えています。

❖貧困の仕組みを考えよう

 貧困に陥るか陥らないかは、能力の有無、コミュニティーの有無で決まる。能力があり様々なコミュニティーに参加している人は「リア充」と言い、最も充実した人生を送れる。能力のみ持つ人は「ソロ充」と言い、能力を使うことで貧困に陥る事は無い。能力はないがコミュニティを持つ人は「プア充」と呼ばれ、コミニュティがあることで貧困に陥ることがない。つまり、能力がなくコミュニティがない人が貧困に陥る可能性の1番高い人とのである。

f:id:naotan200:20170311113630p:plain また、地方に住んでいる人々にとって都会に出て働くと言う事は、もっとも大切な「家族」「仲間」と言うコミュニティを捨て「企業」と言う今ではセイフティーネットとして機能しなくなっているコミュニティに依存すると言うこととなる。この選択は高度成長期であれば「企業」が終身雇用や年功序列等の保護機能があったため有効であった。しかし、そのようなセーフティーネットとしての機能がなくなった企業に依存して上京すると言う選択は危険が伴う。能力があれば「企業」からは保護されるが、能力がなければ捨てられる。つまり、コミュニティから疎外されるということになる。

f:id:naotan200:20170311113419p:plainさらには、高い目的意識があった場合も、その目的意識が努力を生み能力を創りだすと考えられるため、コミュニティから疎外される確率は減ると考えられる。そのため、 地方からの上京は、高い目的意識か高い能力のどちらかが必要となる。1番やってはいけないことは「なんとなく、憧れで上京する」と言うことである。なんとなく、働いていれば、なんとなく、給料が上がって、なんとなく、生活できる。今、このような生活は過去の遺物となっている。

こんな感じの分析でした。安易な上京が貧困を招くという考え方が面白いので紹介してみました。いかがだったでしょうか?

❖しっかりとキャリアを考えての選択で幸せをつかもう

自分の将来のキャリアをしっかり考えた上での選択であれば、地元就職でも首都圏に就職するのでもどちらでも問題ないと思います。しかし、今現在の楽しさを優先した選択は危険です。将来を見据え、キャリアUPをどのようにしていくのか考え選択してくださることを祈っています。

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